EAA(必須アミノ酸)とは何か調べてみた《筋トレ的観点ときどき看護師的視点》
私は毎朝EAAを飲んでいる。
そんな私が、『EAA?よくわからない』なんて口が裂けても言えない。
というわけで、調べてまとめてみた。
Contents
EAAとは何か
必須アミノ酸のこと
Essential Amino Acids
=必須アミノ酸
単なる「筋肉の材料」ではなく、
各アミノ酸が独自の役割を持っているようだ。
ちなみに、必須アミノ酸は大切な栄養素なのに体内では作られない。
だから外から摂取する必要がある。
その食品にバランスよく含まれているかの指標は【アミノ酸スコア】で評価される。
全部で9種類
ヒトの必須アミノ酸は全部で9種類。
- ロイシン(Leucine)
- イソロイシン(Isoleucine)
- バリン(Valine)
- リジン(Lysine)
- メチオニン(Methionine)
- フェニルアラニン(Phenylalanine)
- トレオニン(Threonine)
- トリプトファン(Tryptophan)
- ヒスチジン(Histidine)
⭐︎ちなみにヒスチジンは、乳幼児には必須だが、成人では体内で合成可能。
看護学生時代に必死に覚えたっけ。
「バリンロイシンイソロイシン、、、」的なね。
今では、
それぞれの頭文字をとって
『風呂場イスひとりじめ』
が主流らしい。
EAAは《全9種類》が揃うからこそ効果を発揮する
筋タンパク質合成(MPS)を最大化するためには、
ロイシン単独ではなく、全EAAの存在が必要なんだとか。
- ロイシンはあくまで「スイッチ」であり、
- 他のEAAが「建材」ってわけ。
つまり、
mTORC1を活性化しても、
材料不足なら十分なMPSは起こらない。
mTORC1(エムトールシーワン)について↓
ロイシン(Leucine)
最も重要な「筋肥大シグナル分子」。
主な作用
- mTORC1活性化
- p70S6K活性化
- 筋タンパク質合成促進
- 筋分解抑制
《p70S6Kとは?》
読み方:ピー・セブンティー・エス・シックスケー
→mTORC1のさらに下流にある
「タンパク質合成の実行部隊」な酵素のこと。
- mTORC1が社長なら
- p70S6Kは現場監督。
ロイシンはSestrin2に結合し、
- Rag GTPase
- mTORC1
- Lysosomal recruitment
を介して翻訳開始を促進する。
《セストリン2》とは
→細胞内の代謝とストレス応答を調節する非常に重要なタンパク質。
特に、ロイシンを管理するセンサーとして機能する。
《Rag GTPase》とは
→細胞内の栄養状態(特にアミノ酸)を感知し、
細胞の成長や増殖をコントロールするタンパク質の複合体「mTORC1」
をリソソーム表面に呼び寄せて活性化する「低分子量GTPase」のこと。
《リソソームリクルートメント》とは
→細胞が不要な物質の分解、細胞修復、
または環境ストレスに対する応答を行うために、細胞内小器官であるリソソームを必要とさせる特定の場所へと移動・集積させる生命現象を指す。
現在のスポーツ栄養学では
「ロイシントリガー仮説」が有力。
《ロイシントリガー仮説》とは
ロイシンが筋肉の合成(筋タンパク質合成)を開始させるスイッチ(トリガー)であるという理論のこと。
ロイシン閾値
1回の摂取で
- 若年者:2〜3g
- 高齢者:3〜4g
程度でMPSが最大化しやすいとされる。
そのため
- ホエイ:20〜30g
- EAA:10〜15g
が推奨されているという。
筋肉以外にも健康面で関与
筋肉以外にも
- 血糖調節
- インスリン分泌刺激
- 創傷治癒
に関与している。
イソロイシン(Isoleucine)
ロイシンほど注目はされていないが、
代謝面では非常に重要とされている。
主な作用
- GLUT4発現増加
- 骨格筋糖取り込み促進
- インスリン感受性改善
興味深いのは、
ロイシンよりも糖代謝改善作用が強い可能性があるってこと。
運動への影響
- 持久運動中のエネルギー利用
- 筋グリコーゲン節約
に関与する。
バリン(Valine)
BCAAの一員。(バリンロイシンイソロイシンですね)
主な作用
- 筋組織エネルギー源
- 中枢性疲労軽減
セロトニン仮説(疲労感について)
運動中、
- 遊離脂肪酸増加
- トリプトファン脳移行増加
- セロトニン上昇
で疲労感が増すと考えられている。
バリンは
「LAT1トランスポーター」
でトリプトファンと競合するため、
理論上は疲労感軽減に寄与する。
ただし実際の競技パフォーマンス改善エビデンスは限定的とのこと。
あくまで理論上は、ってことね。
リジン(Lysine)
筋肉より健康面で重要です。
主な作用
- コラーゲン架橋形成
- 創傷治癒
- 免疫機能維持
カルニチン合成
リジンは
- カルニチン
の前駆体である。
脂肪酸のミトコンドリア輸送に関与する。
臨床的には、不足すると…
不足すると
- 創傷治癒の遅延
- 筋量減少
- 免疫低下
がみられる。
口唇ヘルペスや紙のパサつき・抜け毛なども起こる。
褥瘡管理や術後栄養では特に重要となる。
→肉類、魚介類、大豆製品、乳製品・卵などを摂取する。
→点滴では総合アミノ酸製剤として「高カロリー輸液」。
エルネオパNF・アミノレバンやピーエヌツインなど。
※中心静脈なら良いが、静脈注射でアミノ酸製剤を入れると血管痛や静脈炎のリスクが高いので看護師は注意。
(局所の保温や滴下調節など)
メチオニン(Methionine)
代謝学的に極めて重要なアミノ酸。
主な役割
メチオニン
↓
SAM(S-adenosylmethionine)
↓
メチル基供与
関連するもの
- DNAメチル化
- 神経伝達物質代謝
- リン脂質合成
- クレアチン合成
グルタチオン産生
メチオニン
↓
ホモシステイン
↓
システイン
↓
グルタチオン
強力な抗酸化系の上流にあります。
注意点
過剰摂取では
- ホモシステイン上昇
との関連が議論されている。
葉酸・B6・B12とのバランスが重要。
フェニルアラニン(Phenylalanine)
神経系への影響が大きい。
代謝経路
フェニルアラニン
↓
チロシン
↓
ドーパミン
↓
ノルアドレナリン
↓
アドレナリン
期待される作用
- 覚醒度向上
- 集中力維持
- ストレス耐性
筋トレとの関係
直接的な筋肥大作用は弱いが、
トレーニングパフォーマンス維持に寄与する。
トレオニン(Threonine)
地味だけど重要らしい。
主な作用
- 粘膜タンパク合成
- ムチン産生
腸管機能
トレオニン不足では
- 腸粘膜萎縮
- バリア機能低下
が起こる。
近年は
「筋肉だけでなく腸管維持に必須」
として再評価されている。
トリプトファン(Tryptophan)
精神・睡眠に大きく関与する。
代謝経路
トリプトファン
↓
5-HTP
↓
セロトニン
↓
メラトニン
主な作用
- 睡眠
- 気分安定
- 食欲調整
キヌレニン経路
実際には約95%以上が
キヌレニン経路
へ流れる。
慢性炎症では
IDO活性上昇
↓
トリプトファン枯渇
が起こる。
ヒスチジン(Histidine)
意外と筋トレとの関係が深い。
カルノシン合成
ヒスチジン
+
βアラニン
↓
カルノシン
カルノシンは
- 筋内pH緩衝
- 高強度運動耐性向上
に寄与する。
その他
ヒスタミン前駆体でもあり
- 覚醒
- 胃酸分泌
- 免疫反応
に関与する。
筋トレ目線で重要度を順位付けすると
筋肥大への直接寄与
- ロイシン
- イソロイシン
- バリン
- リジン
- ヒスチジン
- メチオニン
- トレオニン
- フェニルアラニン
- トリプトファン
ただしこれは「MPSへの直接性」の順位。
健康全体でみると、
- トレオニン(腸管)
- メチオニン(メチル化・抗酸化)
- トリプトファン(睡眠)
- リジン(コラーゲン)
も非常に重要となる。
筋トレ中の方への実践的な結論
現在のエビデンスでは、
十分なタンパク質(1.6〜2.2 g/kg/日)が摂れている場合、
EAAの最大の価値は「食事の代替」ではなく、
トレーニング前後や食間で素早くアミノ酸濃度を上げてMPSを刺激できる点にある。
また、BCAA単独よりもEAAの方がMPS促進効果は明確に優れている。
ロイシンだけでスイッチは入るが、
他の必須アミノ酸が不足すると実際の筋タンパク質合成は頭打ちになる。
筋肥大目的なら、
- EAA 10〜15g
- ロイシン 2.5〜3.5g含有
- トレーニング前後または食間
という設計が理にかなっているということ。
特に40代以降では「アナボリックレジスタンス」の影響が徐々に出てくるため、
総タンパク量だけでなく、
1食ごとのロイシン量やEAA量を意識する価値が高い。
